僕が声優養成所を辞めた理由と、声優になりたい人へ3つのアドバイス

声優を目指す人へのアドバイス。経験者の僕が語るよ!



僕が声優養成所に通ったのは高校2年生のとき。「声優になりたい!」という思いを抑えられず、「チャレンジするなら、できるだけ早いほうがいい」と思って、高校に通いながら声優養成所に通っていました。が、僕は1年で辞めました。

辞めた理由の一つに「声優になれないと思った」というのもあるのですが、それから4年経った今、僕が声優を目指さなくなったのにはもっと別の理由があるなと気づいたんですね。

当時はまだ高校生で、世の中の事がよくわからないなりに、自分のやるべきことを探した結果、”声優学校に通う!”という決断をしたわけなんですが、それから4年が経って、世の中の仕組みや声優といった職業がどういう立場で何をしているのか、昔よりも具体的に見えています。

で、振り返ると「あぁ、あのときはこんな気持ちだったなぁ」と、思い出すことがたくさんあるんです。声優を目指していた当時の僕に、今の僕なら色々教えてあげられるなぁと。

この経験を自分のものだけにしておくのはもったいないなぁと思ったので、これから「声優を目指したい!」「声優養成所に通いたい」という人へむけて、アドバイスというと上から目線になりますが、実際に声優養成所に通った経験者の僕から、声優になるために必要なことと、目指す上での大切なことなどを紹介していきます。

なお、この記事を読んでも声優にはなれません。そして、「声優を目指す!」と意気込んでいる人へ「やめておけ。」と否定するものでもありません。むしろ僕は応援したいと思っております。

声優養成所に通った一個人の感想だと思って聞いてくださいな。

「声優になりたい!」と思って通った声優養成所。

僕は中学から高校にかけてハマったアニメの影響で、声優さんという存在を知りました。

ちょうど僕の世代ではアニメ「けいおん!!」が大ブームでして、自分の学校生活と重なってめちゃくちゃハマりました。その時の楽しみは学校が終わったらすぐ帰って、家でアニメを見ることでしたね。

そうやってしばらくは、ただアニメが好きで見ていたけれど、次第に声優さん目的でアニメを見るようになっていき、次第に「僕も好きなキャラクターを演じてみたい!」と思うようになっていて、気がづいたら声優養成所に通っていました。

当時はまだ高校2年生の17歳でしたが、「こういうのは、早いうちから通っとくべきだろう!」と思っていたので、すぐに声優養成所に入る決断をしました。実際に声優養成所にいくと、15歳の中学生から30歳を超える社会人の方までいて、年代は幅広かったです。

「ちょっと早すぎたかな?」とも感じてましたが、声優を目指すのに年齢は関係なかったですね。

ちなみに僕を指導してくれた現役声優の方は、20歳で養成所に通い、デビューして活躍したのは30歳からという方でした。声優を目指してから実際にデビューするまでの期間も人それぞれです。

声優養成所と声優学校の違い

声優養成所と声優学校の違いについて紹介します。

声優になるためのレッスンを受ける場所として、主に「声優養成所」と「声優学校」の二つがあります。

「声優学校」は、専門学校のように全日制or定時制で、入学したら卒業までの決められたルートがあります。授業では演技のレッスンを受け、舞台などで経験を積みます。最後にはオーディションを受け、受かったら声優事務所に所属すると入った流れです。

逆に「声優養成所」は、専門学校のような入学から卒業までの決められたルートはありません。毎週何曜日に、数時間のレッスンを受けるといった内容で進められていきます。そして養成所にもよりますが、年に1度か2度行われる「発表会」に参加して、なんからかの形で評価され、進級すると入った内容です。もちろん事務所へ所属するためのオーディションは毎年ありますが、やはりレッスンを重ね進級していかないと、受かるのは難しいといった現状です。

二つに共通しているのは、オーディションで合格しないと、卒業しても声優にはなれないということです。

高校生のときに、声優学校(専門学校)の体験入学に参加したことがありましたが、「卒業してもスーパーで働いたり、声優以外の道に進む人もいる」という話を聞いて、とてもリスキーだなと感じたのを覚えています。

これは声優養成所でも同じことが言えて、たとえ進級しても、オーディションに合格して声優事務所に入らなければ声優になれません。

僕が声優養成所に決めた理由

僕が声優養成所に通った理由を紹介していきます。

声優養成所に通わなくても声優になる方法としては、直接事務所のオーディションを受けると言った方法があります。

だけど、当時の僕は演技経験なし。それにいまの人気声優で、声優のレッスンを受けずにデビューしたと言う人は聞いたことがありません(笑)。なので僕は養成所に通うことにしました。

そして、僕が声優学校(養成所)ではなく、声優養成所に決めた理由は、ダメだと思ったらすぐに辞めて、違う道を探す余裕があると思ったからです。

目指す前から”声優になれる人はごく僅かだ”というのを知ってましたし、”才能がないとやっていけない”というのは当時から感じてました。それに、そのときの僕には演技経験が全くありませんでした。

なので、声優学校に通って声優になれなかった時のリスクがあまりにも大きすぎるなと感じたんですね。

声優学校は全日制で通う専門学校で、高校を卒業しなければ入学できません。そして他の専門学校と同じくらい、もしくはより高額な費用が学費としてかかります。

さらに何かと掛け持ちして学ぶのではなく、”声優一本”として学んでいく形なので、もし声優事務所に所属できなかった場合に大きなリスクになると思いました。

それに比べて、声優養成所なら他にやりたいこと(もしダメだったときでも、生きるスキル)をやりながら、一種の”習い事”に近いような形で学べるし、費用も声優学校(専門学校)に比べて格段に安く抑えられます。

声優を目指す前に「声優になれなかったことを考える」というのは意志が弱いように思われますが、声優になれるのは本当に、ごくわずかです。

僕が通っていた養成所には40人×2クラスの人たちがいましたが、実際に声優になったひとはまだいません。そしてその当時教わっていた現役声優さんから、「確率でいうと100人中1人が事務所に所属する計算だ」と言われたのも覚えています。

僕は現実的な人間です(笑)。なので、この道一本で絞るのはとても危険だと思って、声優一本に絞る声優学校(専門学校)ではなく、高校に通いながらでも学べる声優養成所に通うことに決めました。

声優養成所に入るにはオーディションを受ける必要がある

声優養成所には、入るための簡単なオーディションがあります。声優学校(専門学校)ではおそらくないとおもいます。あっちは面接くらいでしょうか。

内容は確か、”何かのセリフをそれっぽく読む”といったものだったと思います。ちょっと昔なのであまり覚えていませんが(笑)。

ただ、演技経験の全くない僕でも合格できました。別に才能があったとか、声が良かったとか、全然ありません。

おそらく、声優養成所に入るためのオーディションはとても簡単です。なぜなら声優養成所としては、入学してくれる人がいないとお金にならないからです。入る前から厳しくオーディションをしてしまうと、経営として成り立たないんですね。

だけど、入学してから声優事務所に所属するオーディションは非常に難しいと聞きます。あとでも書きますが、声優になれるのは非常にごくわずか。さらに声優だけで飯を食えるまでお金を稼ぐ人は、さらにごくわずかなんです。

なので、声優養成所に入るのに演技の経験もスキルも必要ありません。もちろん、養成所側も誰でもいいわけではないので、一番注目されてるのは”やる気”だと思いますね。

おそらくオーディションでの僕の演技は最悪なものでしたが、やる気は誰よりもあったおかげで所属できたのだと思っています。

声優養成所で学ぶこと・伸ばす力。

声優養成所で学ぶことを紹介していきます。

声優養成所に入ったら実際にどのようなレッスンをするのかというと、僕の通っていた声優養成所ではこんなスケジュールでした。

  • エチュード
  • 朗読
  • 外郎売
  • 演技
  • 演技…
  • 演技……

もちろん日によって様々ですが、ほとんどが体を使った演技のレッスンです。朗読など声だけでの演技はほとんどありませんでした。

今でこそ笑い話にできますが、当時は「穴があったら入りたいとはこういうことか!」というくらい、僕は全く演技ができませんでした。「声優なのに俳優みたいじゃん!」と思うくらい、本格的な演技練習をします。

おそらく、今も最前線で活躍している声優さんで、演技のレッスンをした事がない人はいないと思います。誰もが一度は舞台を踏んで、体を使った演技を経験してから、声優になっているはずです。

昔は声優という職業はなく、舞台の役者さんが声だけで演技をしたところから、声優という職が生まれたとも言われているくらいですので、どの声優養成所でも、必ず体を使った演技をするはずです。

なので、「声優だから、体を使った演技はしないだろう」と思っている方。いいえ、実際は声での演技より体と声の両方を使った演技の方が多いです。

現役声優で僕の講師だったかたから、「人前で演技ができなければ、声だけで演技をすることはできないよ」とよく言われましたね。僕は演技経験がなかったので、正直大嫌いでした(笑)。

声優に必要な5つの力

声優になるために必要な5つの力

よく「声優になるために必要な5つの力」と言われますが、その5つとはこれです。

  • いい声質を出せる
  • 表現力・演技力・想像力がある
  • コミュニケーション能力・人間力がある
  • トーク力がある
  • 見た目・ビジュアルがいい

声優学校・養成所ではこれらを伸ばすためにレッスンを受けていきます。

僕は講師の方からよく、「声優は人間力がないと、絶対になれないよ」とよく教えられました。これは一般の企業でも同じことでで、どんなに高い演技力があっても、その人が魅力的じゃないとオーディションで採用してくれません。

そのためには見た目も必要です。生まれ持った見た目は変えられないけれど、服装や立ち振る舞いで十分にカバーすることはできます。

声優学校では演技だけじゃなく、人間的な力も身につけていきます。僕は1年で辞めてるので演技力は身につかなかったものの、人間力はとても鍛えられたと思っています。

僕が声優養成所をやめたたった1つの理由。

そんな声優養成所も最初は楽しかったのですが、僕は1年で辞めてしまいました。

その大きな理由は、アニメを好きじゃなくなってしまったことです。

思春期の移り変わりだったからか分かりませんが、養成所に通ってるうちにアニメが好きじゃなくなりました。この頃はむしろ、嫌いに近かったかもしれません。

今まで深夜のアニメを録画せずにリアルタイムで見るほど大好きだったのに、次第に録画することもなく、アニメ自体も見なくなってました。今でもアニメは見ますが、好きかと言われたら「好き…かも?」ぐらいです。今は歌う方が好きで、ボイストレーニングやギターに移行しています。

「声優になるために何が一番必要か?」と聞かれたら、アニメが好きで、演技が好きであることだと答えます。

努力はもちろん必要ですが、好きでないものを努力したところで、好きで努力している人には絶対にかなわない。と僕は思うのです。

声優養成所には声優が好きで、アニメが好きで、演じるのが大好きな人が集まっています。僕のように途中で好きでなくなってしまった人は、絶対にかないません。

アニメを見なくなり、声優という職業に興味がなくなったので、僕は声優養成所を止めるという決断をしました。

声優を目指すキミへ、経験者から3つアドバイス。

そんな声優養成所を経験した僕から、「これから声優を目指す人へなにか伝えられないだろうか?」と考えたところ、大きく分けて3つアドバイスできることがあるなと思いましたので、それらを紹介していきます。

1.アニメ・声優・演技を好きでい続けられるか

僕は今でもアニメは見ます。だけど、声優養成所に通っていたときのような情熱はもうありません。暇があったら見るくらいですね。

声優になるためには、アニメ・声優・演技が好きでなければなれないと感じています。

人にもよりますが、声優になるためには短くても2〜3年掛かります。僕の講師だった現役声優の方は、デビューしてから人気声優になるまで、10年ほどかかっています。

それだけ長い間ずーっと”好き”でいられないと、レッスンは続けられないと思います。僕はアニメを好きじゃなくなった途端、レッスンを続けられなくなりました。

声優を目指すならそのときの気持ちだけで判断するのではなく、「これから先もアニメ・声優・演技が好きでいられるかどうか」と自分に問いかけてみましょう。

2.本当に声優になりたいのか?

現役声優の大塚明夫さんの著書「声優魂」から、声優を目指す人へ向けたこんな言葉があります。

声優・俳優の大塚明夫です。はじめまして。もしくは、いつもありがとうございます。本書を手に取ってくださったことに感謝いたします。

 さて、回りくどいのは嫌いなので結論から申し上げましょう。

 本書で私が皆さんにお伝えしたいことはただ一つ。

 声優だけはやめておけ。

 嘘偽りなく、これだけです。

出だしからきつい言い方に感じますが、それにはこうした理由があります。

改めて不思議に思います。これほどまでにハイリスク・ローリターンな世界なのに、なぜ大勢の人がこちらに来たがるのかと。

 それを実際に人に聞いてみると、よく返ってくるのがこんな台詞です。

「私、声優になって、子どもたちに夢を与えたいんです!」

 私はこれを聞くたびに思うのです。随分上からもの言ってないかい、と。

 夢というのは、「与えてあげよう」と思って人に与えるものなのでしょうか。アニメやら映画で、お金で買えるものなのでしょうか。

ちなみに僕は声優になりたいというより、好きなアニメのキャラクターになりたいという気持ちの方が強かったです。

今振り返ると、僕は声優ではなく、”好きなキャラクターになれる声優”に憧れていたんです。

この本にも空いてありますが、声優は仕事を選べません。ということは、自分のやりたいことをできるわけじゃないんです。

声優を目指したいとおもっているあなた。あなたがなりたいのは本当に声優ですか?

自分に問いかけて見ましょう。

3.声優になれなかったときのことを考えておくべし!

そして声優を目指すなら、声優になれなかった時のことを考えておくべきです。これは一番大切だと思います。

 こんなことを言うのもなんですが、声優学校や養成所というのは非常に儲かる商売です。学校には、生徒たちの将来の面倒をみる義務がありません。入った人間を必ずこのレベルのスターにします、入った人間を社員にして給料を支払いますといった契約を交わすわけではないのである意味楽です。売れなければ「お前のせいだ」でおしまい。うまいことスターが出れば「ありゃあ俺んとこで育てたんだ」と言えばいい。それを広告塔に次の声優志望者たちがやって来る。はっきり言って、ローリスク・ハイリターンです。ハイリスク・ローリターンな声優業と比べてなんたる違いでしょう。

声優学校や声優養成所を卒業したところで、事務所に所属できなければ無意味です。むしろ声優のスキルというのは、世の中では役に立たちにくいスキルです。

「いや、俺は絶対に声優王になるんだ!」ってルフィー並みに意気込んでる人も、絶対になれるとは限りません。

なぜなら声優になれるのは100人に1人、そして飯を食っていけるのは3000人に1人と言われているからです。

僕の通ってる養成所でも、毎年100人中1人が声優デビューできる程度。しかもデビューしただけで、生活に十分なお金を稼げるようになるまで時間がかかります。

この本には大塚明夫さんが声優を目指す人へのメッセージが込められています。きになる人は手にとって読んで見てください。

声優を目指す人を応援したい。

僕は声優養成所をやめていますが、個人的には声優を目指す人を応援したいと思ってます。

いろんな人が「声優にはなれない」「声優になれるのなんてごくわずかだ」「声優はお給料が少ないぞ」と言います。

だけど、人生一度きりです。そんなリスクを承知の上で、「やりたいことやらないでどうするの?」と、僕は思うのです。

僕は高校生のときめちゃくちゃ声優になりたかったです。でも通ったことで、「僕には向いていない」と気づきました。

「やって分かったこと」には価値があるけど、「やらずにわかったつもりになっていること」は無意味です。

「やってみたいんだよね」と「やったけどダメだったんだよね〜」は全然違いますから。声優を目指したことがない人間の言葉を信じたって、なんの役にも立ちませんよ。

やって自分の経験にするのか、やらずに諦めて後悔するのか。あなた次第です。

まとめ。

僕は最終的に声優養成所をやめたわけですが、通って良かったと思っています。

現役声優の方から教わったのは、演技のことだけではありませんでした。むしろ、演技以外の人間性を鍛えられたなと思っています。

最後に挨拶できなかったのだけが心残りです…いつかお会いできる機会があったらお礼を言いたいなと思っています。

先ほども言いましたが、人生一度きりです。お金のこともありますから、家族や友人・恋人がいれば相談して、自分は本当に声優を目指していきたいのかを決めましょう。

もし声優になれなくても、目指して努力した時間は絶対に裏切りませんよ。