路線図1つにこんな素晴らしいアイディアが組み込まれていたんですね…!!
こちらは東京の路線図ですが、パッと見てなにか気付かないでしょうか。デザイン分野に通じる人なら一目で気付くはず。

「複雑すぎてワケがわからん!」という方もいるでしょうが、なんといっても『視認のしやすさ』が際立っていますよね。
10本以上の路線と、100駅以上が交差しているのにもかかわらず、『色分け』されていたり、『太さ分け』されていたり、『配置が工夫』されていることによって、1枚の画像に見やすくおさまっているんです。
このように路線図がデザインされるようになったのは、どうやらロンドンにある天才がいたからのようです。
『地理的』には見やすかった初期の路線図。
ロンドンでは1908年に最初の路線図が誕生しました。その図がこちら。

1908年のロンドンの路線図
現代の路線図と大きく違うところは、地理的に的確な場所に配置されているというところです。
この地図が生まれたことによって、乗客は迷わずに目的地へと向かうことができるようになりましたが、当時は路線図に池や公園や森なんかを入れていたために、複雑で見づらいことが難点となっていました。
今の路線図では、よく使われる路線や駅は『大きく』『太く』描かれていますが、こうした考え方は最初からなかったみたいですね。
乗客は『どこで降りるか』しか気にしない。

路線図を見やすくデザインしたイギリスの天才
そこで、工芸系の製図技師としてロンドンの地下鉄で働く『ヘリーベック』という29歳の青年が、ある1つの重要な点に気が付きました。
それは、「乗客は地上がどうなっているかなど、大して気にしていない」ということでした。
僕も学生時代は毎日のように都内で地下鉄を利用していましたが、自分がどんな経路を辿って目的地についているのを知りませんでした。
スマホがなかった当時の人たちも、どうやって移動しているのかはあまり気にしていなかったんですね。目的地につければそれで良かったみたいです。
現代社会でも多くの人が、「指示通りに動いていたら、いつのまにか目的地についている…!!」といった感じで地下鉄を利用していますが、それはつまり、
この事実に彼は80年以上前から気づいてていたんですね…うーん本質を付いている!!
『地図』から『図表』へ。
そこでヘリーベックが生み出した、新たな路線図がこちら。かなり現代の路線図に近いデザインになっていますよね。

路線は縦・横・斜め45度の3後方で、駅を等間隔で並べ、各線を色別でまとめています。
最初に採用されたのが1933年で、ポケットサイズでこの地図を1000部ほど刷ったところ、すぐに完売してしまい、ついには75万部も印刷されるようになったそうです。
これが今、僕たちが普段から目にしている路線図の原点で、東京だけではなくパリやロサンゼルス、サンパウロ、ワシントンD.C.などでも使われているみたいですね。
彼は約80年間もずっと使われるデザインを生み出していただなんて、きっと考えてなどいなかったでしょう。
誰もが知らないところに天才ってのはいたんです。アインシュタインやエジソンだけがすごいワケじゃない!!
いいデザインは誰にでも生み出せる。
現代社会でもそうですが、いいデザインってのは、必ずしも『いいデザイナー』が作るものじゃないんですよね。
彼は電気系統の仕事をしていたようですが、そんなデザインと全く関係のない人が、紙一枚とペンで素晴らしいインターフェースを作り上げるんです。これは今だって同じでしょうね。
ということで、最後にいいデザインを生み出すための3つのアイディアがまとめられていたので、ここに記しておきます。
- 1.焦点を絞ること・・・誰のためにやっているのかを明確に
- 2.単純さを求める・・・その必要性を実現するための最短の道を探す
- 3.分野横断的に考えること・・・複雑な分野を繋げること
やっぱりデザインって奥が深いなぁ…ますます勉強したくなる!!
ということで、今回のTEDトークをどうぞ!